リレー小説

幻想ノ輪話「承」
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#29 [広川◆WitV85oINg]
地下に辿り着くと絶句するしかなかった。

僅かに光る瓦斯灯で周りが照らされたが、壁は最早、壁の役割を果たせない程ひび割れており視界は全て紅く染まり、吸う空気は甘い…

(…甘い?)

ふと匂ってみると、果実のような甘酸っぱい薫りが辺りを包んでいる。

先に降りていた彼女達も、この状況に唖然としているようだが…

ふと、目をやると原形を止めているテーブルの中央に紅く染まった円形の物体が無惨に横たわっていた。

「紫、これは一体何なの?」
「なんでしょうね…」

流石に彼女達も解らないようだが、奥から声が聴こえてきた。

「また失敗したの!?本当にお腹が空いたんだけど〜!?」
「フランドール!なんでレーヴァテインでボウルをかき混ぜるんだ!?」
「ぐるぐる回せば良いっていったじゃないの!」
「禁忌の杖でボウルをかき混ぜるケーキ屋さんがあるか!?」
「またスポンジからなの?もう疲れた…」





「…何をしてるの」


(ふむ、甘くて美味しい)

「パチュリーから地下が大変と聞いてきたんだけど。」
「おお、霊夢か。悪いな、見ての通り大変だ。」

(スポンジは、と…柔らかいがソースと相まってなかなか美味い)


「霊夢も食べていく!?」
「フラン、悪いけど私はいいわ…それより慧音?大丈夫なの?それになんであんたが地下にいるのよ!こいし!」
「だって地霊殿からここまで繋がっているんだからいいじゃない、この子も良いって言うしさ〜」
「はぁ?どう言うことよ?繋がってるの?」

こいしは話を続ける。

「知らなかったの?そもそも温泉は霧の湖の底から染み込んできた水が地霊殿の所まで染みて、それが温まって出来たのよ?」
「…つまりフランの部屋が地下にあるから、地霊殿から歩いてこれると。」


(クランベリーは…ふむふむ、砂糖と煮てジャムにしてあるが香りも味も一級品だ。)

「おぉ、このお酒美味いぞ!」
「ブランデーをらっぱ飲みするな!」


(クリームは…)

「カイト!つまみ食いしない!」

「ご、ごめんなさい…」


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