1/1ページ目 ある時代。 ある場所。 この乱れた世の中にある小さな村の、少年の物語。 少年は生きるために盗みを生業としていた。 「ま、待て待てぇえ!」 店主は醜く太った大人。 「遅いよ…。」 少年は風のような速さで逃げる。 大人には決して追いつけない。 少年は逃げる途中思う。 今は空腹をみたすのが全てなんだよ…。 是も非も越え、ただ走った。 少年に罪の意識はない。 少年にとっては盗みは日常。 心は清らかなまま保っていた。 「あ〜あ…。天国も地獄も…。ここよりマシなら喜んでいくのになぁ…。」 この世界。むしろ死んだ方が楽、というときもある。 それだけ腐った場所だ。 少年には嫌いな言葉がある。 [人は皆、平等] んな訳あるかよ。 一体どこのペテン師のセリフだよ。 少年は信じなかった。 人は格差、格差だ! 「あー…だり。」 少年は空を仰いだ。 ************************ ある日、少年はいつものようにパンを抱いてにげていた。 今日はフランスパンか…。上出来だ。 よだれがでそうになるのを止める。 その時。 向こうから行列。 すれ違う。 少年は立ち尽くしてしまった。 何故なら、行列の中に美しい少女がいたからだ。 「かわいそうに…。」 遠い町から売られてきたんだろうな…。 少女の瞳には涙がみえる。 この腐れた世の中だからな…仕方ない…のかな。 その少女は、金持ちの家を見届けたあと、叫びながら走っていった。 「……………。」 少年は追い掛けた。 「待てよ…!」 「な、何!?」 「フランスパンやるよ…落ち着け。」 少年はさしだした。 「う…うん。」 「お前…。売られたのか。」 「うん…。金欲しかったみたい。」「そっか……。」 「高く売れたみたいだよ…。よかったよかった。」 少女は悲しそうに笑った。 どうにかして救えないか…。 結局、少女には思想も与えられなかった。 売られた家を聞き、別れた。 「神様が……神様がいるとしたら何故僕らだけ愛してくれないんだよ…!」 少年は計画を思いついた。「やってやんよ…!」 少年の口元が醜く歪んだ。 この村は、坂の村だ。 全体的に坂だ。 少女が売られた家はその坂の頂上にある。 この村のもっとも下には… 村宝、名刀[正宗]がある。 非常に重たい。 日頃は監視員がいるが、夕暮れにはいなくなる。 少年はこの時を狙った。 正宗を盗んだ。 重たい刀を引きずる。 あの家を目指して。 この時の少年の姿。 重たい刀を引きずる姿は 大人から逃げていた時の 風のような姿と呼ぶには 悲しすぎよう。 少年はカルマ[因縁]の坂をのぼる。 「ついたぜ…。」 目の前には家。 「警備員!しねぇ!」 正宗をふりかざす。 「お前は…!?さらにそれは正…!」 言い終わる前に斬る。 「へへ…!さすが名刀…」 少年は侵入した。 [侵入者だ――…。] 少年は最後の部屋に。 ここに少女が…。 周りには死体が転がっている。 「ははは…やったぜ…。」怒りと憎しみがこびりついた刀を落とす。 少年は部屋を開けた。 「おい…!」 そこに確かに少女はいた。「アハハハハ…。」 「どうした??」 「アハハ…。」 「お前…………もう…。」 少年は悟った。 もう 魂がこわされている。 「…………………。」 少年は部屋を出る。 刀をまた、拾う。 「これで…いいよな??」 少女に向かって刀をふりかざした。 最後の一振りを少女に。 泣くことも忘れてた。 ただ、空腹は思い出していた。 痛みなら少年もありのままを確かに感じていた。 お話は ここで終わり。 ある時代の ある場所の 物語―――――――――… 完 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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