1/2ページ目 *プロローグ* 夕凪[ゆうな]は荒野を歩いていた。 頬はやつれ目も虚ろ。 何の感情もないのに涙が伝う。 その時、目の前に数人の影が。 夕凪は事態を理解できない。 目の前の影も同じだ。 戸惑っている。 一体何なのだ…。 そういえば、おかしかった。 始まりからおかしかったのだ。 あれは12月の寒い日。 夜、友達数人と居酒屋的な所で騒いでいた。 そのメンバー。 千佳 竜彦 友一 未紀 正太郎 清隆 真子 友達になった時期はバラバラだが、まぁ、友達。 しかし、竜彦はわがまま横暴だから、消えてもいいと思っている。 今回の集まりでも、店員に暴言を吐いたりして、なんかイヤな空気で解散に。 「どうする!?二次会いく!?」 「いや…。終電なくなるしいいや。」 「あ…俺も。」 「なんだよ…たく…。」 「じゃあ今日は解散な。」「バイバイ。」 さぁて…と。 夕凪が帰ろうとしたとき。「…雨。」 それからの記憶が、ない。 [第一の扉] 目をさました時、そこはベッドの上ではなかった。 コンクリートの上…?? 辺りを見ると、真四角のコンクリート部屋。 しかもあの友達達もいる。 「お、起きてよ!」 他のみんなをおこす。 「うぅん…。…。ここは!?」 「知らない…。記憶が…ないの。」 解散して、雨が降ってからの記憶がない。 なんらかの事件に巻き込まれたか?? まさか拉致!? そんなこんなでみんな起きた。 みんな記憶がなく、夕凪と同じ状況らしい。 「そうだ携帯!」 携帯…。なるほど。 「ダメだ…電源がはいらない。」 夕凪もそうだった。 改めて部屋を見る。 扉がある。 …扉?? 扉があるなら扉から出ればいいじゃない。 「竜彦、扉あけてみて。」「すでにやってるに決まってんだろ!お前はむしけらか!」 こいつ…! 「なら…扉の反対側にあるスイッチには気付いたかしら??」 言うと竜彦は焦った表情をみせた。「あ…当たり前だろ!」 嘘臭い。絶対に気付いてなかった。スイッチは壁と同色で目をこらさないと見つけられない。 夕凪だからこそ気付いたとでもいう所か。 「いまから押すんだよ。」竜彦はスイッチをおした。 瞬間、カチっと扉から音がした。 「開いた系じゃねーの!?」 みんなが扉にあつまる。 「ダメだ…あいてねぇ。」「確かに開いた感じはしたのにな。」 その時、清隆が何か気付いたようだ。 「ま、まさか…。」 清隆はスイッチを押す。 「あけてみてくれ。」 「オォ!あいたぞ!」 やはりか…清隆は思い、スイッチを離した。瞬間。 扉が勢いよくしまった。 「な…なんだこれ!?」 清隆は説明。 「簡単だよ。スイッチをおしている間だけ扉はひらく。」 みんな一瞬ポカーンとした。 が、意味を理解し、絶句。「1人が犠牲になれってのかよ…!」 「くそが…!」 みなが絶望の縁にたたされている。 だが夕凪は言った。 「待ってよ!まだそうと決まった訳じゃない。警察とかも動くでしょ!助けを待っていよーよ!」 希望。この時、まだ夕凪の胸には希望があった。「そう…だな。わかった。」 みんなが、腰を下ろした時だった。 「うわッ!」 スイッチのすぐ隣に座っていた清隆が小さく叫んだ。 見れば、水が清隆をぬらしている。 一体どこから…!? 「あ、穴だ!」 なんとスイッチの横にある穴から水が吹き出してきた。 「んだよこれ…!」 水。水。 しばらくすると膝らへんまでたまってきた。 「このままじゃ…!」 みんながパニクる。 「もういい…!」 清隆がいった。 「いいって…??」 「俺がここに残ってやんよ。」 その言葉にみんな驚いた。「そんな清隆…!」 「このままじゃあ、みんな死んじゃうだろ??だったら1人が犠牲になった方がいい。」 「でも…でも…!」 そんなこんなしている内、ついに胸の辺りまでたまってきた。 「はやくいけ!」 「…仕方ない!行くぞ。」竜彦が言った。 扉を開ける。 水が扉の外に出る。 扉の外には、狭い廊下があり、その先にまた扉がある、といった造りだ。 廊下に水がたまりだす。 「竜彦…!」 「あぁ??そいつは自ら犠牲になるって言ってんだ。素直に従おうぜ。」 「く…。」 なんだこいつは…。 友達じゃなかったの…?? 「それに、清隆のいうとおり、これじゃ全員溺死だぜ??」 確かに。 「ほら…竜彦も言ってる。俺の事には構わず先に行けよ。」 こんな所で清隆とお別れ?? 「もういい。行くぞ。」 正太郎が言う。 「そんな…!」 「うるせぇ!行くぞ!」 腕を引っ張られた。 抵抗できない。無理矢理扉の外へ。 「清隆ー!」 最後に清隆は微笑むと、スイッチを離した。 「清隆………。」 部屋の方を見て嘆く。 「仕方……なかったんだよ。」 仕方ない。ほんとにそうか。もしかしたら生きれたかもしれない。 「次…行くぞ。」 清隆はこれでいいと思っていた。 水はもう下唇まできていたが、背伸びはしなかった。今までの思い出が駆け巡る。 扉のノブに捕まる。 しかし体は正直だった。 清隆の強く握った拳が力なく開き、体が浮くのは数分後だった。 [第2の扉] 「清隆は犠牲になった…。それを無駄にしないためにも、行くんだ。」 この扉の先にあるのは未来か絶望か。 とにかく行くしかないのは事実。 「扉の真ん中に[T]って書いてる。なんだろ??」 「多分ー…。[助けて][血がでる][つまらない][てめぇ][止めて]などのTじゃないかな。」 まさか…。 「とにかく、開けるからな。」 ギィー…っと開く。その先を見た夕凪は絶句。 またしても同じような部屋がある。 竜彦が先に中にはいる。 「おいおい…。また、スイッチと穴がありますよ〜。」 竜彦がわざとらしく言った。 「まじかよ…。」 みんな、わかっていた。 また、犠牲が出ると―――――――! だがしばらくしても、水は出ない。 「何でだぁ…??」 正太郎が穴に近づく。 「うっ!」 正太郎がのけぞった。 「どうした!?」 「ガスが噴出してやがる…!」 ガス…!? 水の次はガスなの…?? 「私が、犠牲になろっか。」 「千佳…!」 自分から犠牲に?? 「なんで…!」 「もう清隆くんも死んだしさ。誰が死んでもよくない??」 千佳も精神がやられたか?? 「はやく…このままじゃ全滅だよ??」 千佳はスイッチを押した。 「はぁ…はぁ…。脱出するぞ。意識もたねぇ。」 竜彦がいち早く脱出。 みんな出ていき、夕凪だけが残った。 「はやく夕凪も。」 「いや…いや…。」 「夕凪!こっちへ!」 友一が呼ぶ。 「友一くん…。夕凪を連れてって。」 「あぁ…。」 友一は無理矢理、夕凪の腕をつかんだ。 「やめてぇ!」 だが男の力にはかなわない。 簡単に部屋の外へ。 「じゃあね…。夕凪…。」千佳は、スイッチをはなした。 薄れゆく意識の中、身体の機能が壊されていくのがわかった。 そのまま、床に倒れた。 [第3の扉] 「千佳…!」 夕凪はくやしがっていた。千佳とは一番仲よかったとおもう。 その千佳が死ぬなんて…。 「…次の部屋へいこう。2人の無念を晴らすんだ。」正太郎は扉へ。 「…………。」 「いこう。」 次の扉を開けた―――――。 そこには澄んだ青空はうつらない。 また、部屋。 だが、違う所があった。 「スイッチと…穴が…ない??」 「まじだ…。どうやって脱出すんだ…??」 「まさか…長期戦じゃねぇよな??」 竜彦に視線がそそがれる。 「どういう事だよ??」 「もう、みんなで脱出なんて生ぬるい事言ってらんねぇ。必ず誰かが死ぬだろ??」 「…………。」 「何もない以上、誰かの餓死を待てって事だ。」 「そんな…。」 みんなが絶望。 が、その時、事は起こった。 扉がひらいた。 「え??」 一瞬の希望。 だがそこから何か入ってきた。 「お、男の子…??」 小学生くらいか、男の子が入ってきた。 そいつは、1人1人の顔をなめまわすように見た後、目を閉じ、完全に動かなくなった。 「な、なんだぁ??」 「わからない…。」 ここにきて、真子が動きだした。 「僕…どうしたのかな??」 男の子に話しだした。 そういや、小学校の先生になりたいって言ってたっけ。 「何か話して??」 依然として無反応。 真子は男の子の肩に触れた。 「ひぃッ!」 真子はちょっと後ろへ。 「どうしたの??」 「か、体が硬い…!まるで、ロボットみたいな…!」その時。 男の子がついに目を見開いた。 そうかと思うと、真子に飛びかかった。 首をしめだした。 「たすけ…!」 みんな、助けようにも一歩が踏みだせない。 ついに真子は倒れて動かなくなった。 「……真子??」 近づこうとした時、みんな吹っ飛んだ。 なぜなら、つよい発光と爆風が起きたからだ。 「うぅん。」 目を覚ます。 「どうなった??」 周りは白煙だらけ。 手に何かが触れた。これは…?? 「ひいいぃ!」 夕凪は思わず、それを投げた。 それは肉片。 目の前には、体のなくなった真子がいた。 あの男の子が爆発した…。 触れたら、爆発する仕掛けだったんだ…。 夕凪は思わず吐きそうになる。 「イヤ…イヤアァァァァ!」 悲鳴だけがこだました…。 続く [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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