ただの物語

艨ィ∠H.K.R←
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【STAGE1、爆弾屋敷】


てくてくてくてく。
俺はドラクエの仲間キャラクターさながらに使用人に付いて行く。
それにしても長い。
ひっじょーに長い。
かれこれ10分ほどは歩いている。
ここ……家の中だよな?
あの爆弾チックなちょっとユーモアが過ぎる家の何処にこんな広さが隠されているのだろう。
なんてことを考えつつも歩き続ける。
……飽きてきた。
しかもまだ一向に到着する気配がない。
俺は使用人に話しかけてみることにした。
「なぁ。ここって爆弾師の家なんだろ?爆弾師ってどんな人なんだ?」
「……会えばわかる」
「……あっそ」
なんて無愛想な女だ。
コイツはこれでもちゃんと働けているのかなどと余計な心配をしてしまう。
それ以上の会話はなく、淡々と、粛々と歩き続けた結果、ようやくそれらしき部屋に辿り着くことができた。
「……ここ。失礼のないように」
「へいへい。わかってますよ。案内ありがとな」
俺は使用人に軽い謝辞を述べ、部屋の扉に手をかけた。
部屋、内部に足を踏みいれた。


【瞬間】 【静寂】


―――今、僕は部屋に入ったよな……………??
なのに、目の前に広がるのは………
「荒……………野!?」

この状況をただ、理解出来ずにいる。
その時。
「キミが客人かな?」
「っ……………!」
振り向く。そこにあったはずの入ってきた扉は消え、ただ、そこには四角い輪郭で、先端に丸いものがついている帽子をかぶった老人がいた。
「ようこそ、爆弾世界(ボム・ワールド)へ……!」
―――これが僕の、爆弾を手に入れるための地獄の死のゲームの始まりだったんだ……………!








「ここでは君にひとつのゲームをしてもらう」
「ゲーム……?」
「そうだ。なぁに簡単なことだよ。君には彼女と戦ってもらう。そして彼女に勝った瞬間にゲームクリアだ。当然、その時点で君が欲しがっていた爆弾も与えよう」
老人がゲームの説明を終わると同時に指パッチン。
刹那、さっきのメイドが俺の前に現れる。
「どうも。こんにちは。また会いましたね」
ペコリと頭を下げられる。
「おい、まさか……」
「えぇ。そのまさかです。今からあなたは私と戦ってもらいます」
「ちょ、まてよ、こっちにも心の準備ってものが……」
「戦闘開始《バトルスタート》!」
老人が高らかに勝負の開始を告げる。
「行きますっ!」
刹那……ってまた刹那かよ!?どんだけ刹那が好きなんだ!厨二にも程が……ってちょっと待てぇっ!
メイドは何の躊躇も見せず俺に蹴りかかる。
しかもK−1選手顔負けのハイキックで。
そんなヒラヒラスカートでよくハイキック出来るなこの女!
スカートん中見えちまうぞ!
たとえ火の中水の中草の中あの子のスカートの中……って言ってる場合じゃねぇ!
「……あっぶねぇ!」
俺は間一髪で蹴りを避けることが出来た。
しかし依然として状況は変わらない。
またしてもメイドの二発目が!
どうする!?どうすんのよオレ!?……最近あのCMも見なくなったな!どうでもいーけど!



――僕はその答えをすぐに出した。
彼女のハイキックを、モロに顔面で受け止めたのだ!「―――――……!?」
彼女も明らかに驚いている。同時に老人も。

「あなた―――なんでよけなかったの??」
僕は答えた。
「お前から攻撃を受ける理由がない………故に避ける理由もない!」
いつの間にか降り出していた雨。都合よく雷が鳴った。
「…………貴方に、危害を加える理由―――。」
「ない、だろ??僕に攻撃する理由があるやつはあいつだ…!」
僕は指さした。


爆弾師に。

「そいつは適当なことを言って貴様を誑かしているだけだ!惑わされるな!やれ!」
「……はい。わかり……ました」
なんちゃってノリで完璧超人生徒会長みたいなこと言っちゃったが思ったよりも効果はあったみたいだ。
メイドは明らかに先程よりも攻撃の勢いが落ちてきている!
ここらでダメ押しをしておきたい!
「なぁ……あのジジイの言う事なんて聞いててお前……楽しいのか?」
メイドの動きが止まる。
「そいつの戯言に耳を貸すな!」
「テメーは黙ってろ!今はコイツと話をしてんだ!……ここから一緒に逃げよう!あんなジジイのことなんて知ったことか!もうあいつの言う事なんて聞く必要ないんだ!」
「……!」
「黙れ小僧!貴様に何がわかる!」
なんで三輪さんVOICEの狼風に怒られたんだ今!?
しかし今はそんなことはどうでもいい!
「メイド!お前はどうしたい!?ここでずっとあのクソジジイの言いなりになるつもりかよ!?」
「……私……は……!」
「来い!俺を信じろ!」
メイドの手を掴み走り出す。
「貴様!爆弾はどうする!?貴様はそれが欲しかったのだろう!?今戻ってくれば爆弾をくれてやるぞ!」
もう爆弾なんか知ったことか!
コイツがいればもう他のことはどうでもいい!
今はコイツがいればそれでいい!
コイツが……いれば!


―――こうして俺とメイドは爆弾迷宮から抜け出した。
俺は復讐だなんて馬鹿なことを止めた。
ヒキコモリも卒業だ。

だって今の俺には―――大切な、守らなければいけない人がいるのだから!


〜【STAGE1、爆弾屋敷】FIN〜

―――【STAGE2、学園生活《スクールライフ》】へもうちょっとだけ続くんじゃ!








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