ただの物語

艨ィ夜市←
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「たく…。リョーマの野郎、なんだってんだ…。」もう薄暗い夕ぐれ道を、閃(せん)は歩いていく。
リョーマは高校ん時の同級生。何故か今になって、閃を家に呼んだ。「わざわざ今日じゃなくてもいいだろに…。」ぶつくさいいながらも、家についた。ピンポン!軽快なチャイムがなる。「きたかぁ。」リョーマはドアをあけながら言った。「なんなんだよ…。」ズケズケと家にあがりこむ。「まぁ、なんもないんだけど…。」確かに家の中は必需品だらけ。「でさ…。話があるんだが…。」「何?」「お前、お祭り好きだったじゃん。」「まぁ。」閃は小さい頃とかはよく神輿とかかついでた。「祭、いかないか?」「は?」今のこの時期、晩秋だというのに。「あるのか?」「うん…。多分…………。」「はぁ!?多分!?」「梟や烏が教えてくれる…。ある…。」「わけわかんねーょ。」閃はかぶりをふった。「まぁいいや。ついてきて。」リョーマは出ていこうとする。「まてゃ!」「あ、そうだ閃。いくら持ってきた?」閃は財布の中身を確認。「2568円だ…。祭なら、こんくらいあれば余裕だろ。」言うと、リョーマはうつ向きながら「…………………うん。多分。」と小さく言った。
――――――――――――――。「おぃ、まだかょ?」リョーマはもうくらくなった森の中を進んでいく。足音と草をかきわける音を除けば、まるで【音のない森】だ。「うん。多分。」「はぁ。」しばらく進むと、向こうに青白い提灯(ちょうちん)が見えてきた。「え!?そういや、もうこの辺、海になってるはずだよな!?ここって一体…!」「夜市に足をふみいれるよ。覚悟はいい?」「え?」ひっぱられ、一歩踏み出すと、なにか、空気がかわった。まるで、別世界にきたような。そこには、露店がならび、パッと見は、まぁ普通だが、明らかにおかしい。圧倒的静寂。あの騒がしさがない。さらに、店単体を見ると、店主が、一つ目ゴリラだったりと、奇抜。「ひぃ!な、なんだここぉ!」「だから夜市だって。これが。例しにその辺の店みてみ。」閃は近くの店に行ってみた。腕が4本あるヤツが店主。「おぉ、あんた人間界からきたんか。この店には、いろんな界の特別な石を扱ってる店だぁ。」「に、人間界!?」「?うん。そだけど。」「ちょ、ちょっと失礼!」閃はリョーマのとこに戻った。「人間界とか言ってるよぉ!?なにこの異世界!」「実は俺もよくわからんのだ。とにかく、歩いてみよ。」リョーマは歩きだした。「わかったよぅ。」しぶしぶ。―――――――――。しばらく店をみると、売っている物はどれも奇妙なもので、さらに高い。「か、帰ろうよ。」こわくなった。「俺もさっきから帰り道探してんですけど。全然ない。」そういえばそうだ。こんだけ歩いてんのに、全く外にでる気配がない。「あの話…。まじか?」「あの話?」「夜市は、何か買い物をしないとでられない。」「は?」言葉をうしなう。「そこで誰か買い物してる。話をきこう。」みれば、老紳士…。人間界からきたのであろう老紳士だ。あの話をしんじるならば。老紳士は、一本の剣をかおうとしていた。「この剣はなんでも斬れる最高の剣だぁ。10万でいいぜ。」「10…。わかった、買おう。」「毎度お。」…………。「すいません。」「なにかね?」「この夜市について何か知っていますか?」聞くと老紳士は語りだした。「この世界は…。様々な界がひとつになる市場。入ってくれば、何か買うまででられない。さらに、言語とかは勝手に翻訳されるんだ。」「へぇ。」「まぁ私はしばらくうろつくよ。また聞きたい事があれば、尋ねるがよい。」「ありがとうございます。」老紳士は去っていった。「なぁ、リョーマ。そもそも、なんでこの市場の存在を知った?」「…。幼い頃、1度きた事がある。父親から、つれられて。」リョーマは話しだした。「弟と一緒にはぐれちまってな。歩き回ったんだ。そしたら…。」生唾を飲み込む音がした。「この市場に迷いこんじまった。最初は、恐かったよ。」「なら!どうやってでた!幼い頃にそんな金があるはずないだろ!?」「まぁ、話きけや。弟と俺は、とある店を見た。店主は、人拐い。売っている物は…。形がない。なにかの【才能】だった。」「才能まで売ってんのか。」「人拐いに、金がない旨を伝えると、人拐いはこういった。」【金の代わりに何かないか?例えば子供とかな、ヒッヒッヒ。】「幼い俺でも意味は理解できた。弟を、売る。」「な…!」「なんとか説得して、俺は野球の才能を買った。当時、流行ってたから。」「はぁ。」「その後、なんか、記憶が曖昧になって。気付いたら家にいた。」「よかったじゃん。」「イヤ、世界から弟の存在がきえてた。元からいない事になってた。夜市で売ったから。」リョーマは小さい声「あせったわぁ。あんときわ。だから、今回の目的は実は、弟を買い戻しにきたんやわぁ。」「なるほどなぁ。」すぐ近くに、人拐いの店がある。「俺、老紳士さがす。なんか、必要な気が。」閃ははしる。リョーマは店にいく。「おい、人拐い。」「あぁ?客か?」「あぁ。買いにきた。数年前、兄が弟を売ったやつ、覚えてるか?」「あぁ…。うぅん。確か…。数年前の売れ残りは…。あいつしかいない。」人拐いは指差す。そこには子供一人。「瞬間冷凍してっからな。歳とらへんねん。」いつの間にか、閃と老紳士がいた。「その子供はほんとにあの時のか?」「さぁ?俺はそうだと思ってる。お前がしんじられんなら、かわなけりゃいいだけだ。」「そうか…。」「つか、お前いくら持ってきてるわけ?」「…68万。俺の全財産だ。」「ふん。バカにするな。その程度で人間がかえると思ってんのか?」「く…。頼む。」「それなら…。金の代わり、あるか?」人拐いはニタァっと笑った。「代わり…。」リョーマは閃を見た。「お、俺いやだかんな!」「…。」「おい!」「仕方ないな。閃。」「なんだ…!?」「俺と68万で、弟を買い戻してくれ。」「は?」自分が犠牲になるというのか?「なに言ってんだよ!」「いいんだ。…人拐い。俺と68万やるから、その人間をそこの人間にくれ。」「いいねぇ。若い男はあまり手に入れられないから。」「まじかよ!」「あぁ。元は、弟のためだ。俺はもういい。」人拐いがそこで言った。「商談成立やな。なら…。」人拐いが子供に手をかけた瞬間、人拐いの首がとんだ。老紳士が、あの剣で斬ったのだ。「あぁ…!?」「今この者は!この神聖なる夜市で詐欺をおかした!だから斬った!」「詐欺ぃ!?」リョーマは腰をぬかしている。人拐いからは血がドクドクと流れている。「そもそも、夜市は生きている。ここの商品も、店主も、みな夜市の一部なんだ。体の腐った部分を斬ってくれて、逆に感謝されるよ。」「でも、詐欺って…!」「おっと、始まったよ。夜市の終わりだ。」向こうがわから、順々にちょうちんが消えていく。同時に、意識もとおのいていった―――――――――――。










「うぅ〜ん。」閃は気付くと、海を見下ろす崖に座っていた。「気付いたかね。」老紳士。「あの弟が売られた後の、弟の話をしてやろうか。」老紳士は話しだした。






あの弟が売られた後、弟は泣いた。だが兄がいなくなった瞬間、そんな場合ではないと判断。人拐いが手をのばしてくる前に、逃げた。すぐに人拐いも追いかけてくる。が、天が味方したか、2人の間を、百鬼夜行が通り過ぎた。そのおかげで、なんとか。弟は、とにかく、店に入った。店主はまるで猿のような老婆。自由がほしい事を老婆に言った。「坊や、お金ないだろう?」頷くしかなかった。「なら、その若さをもらおうかねぇ。」近くにあった仮面が勝手にうごき、顔に被さる。気付くと、目の前には先ほどの老婆はいなく、若い女性が座っていた。「これであんたは自由だ。行きな。」出ると、人拐いがいたが、こちらを見る事なく、どこかへ行った。ほんとに自由になった!そして意識はなくなった。森にいた。近くに、鉄板がすてられていて、それを見て、ビックリした。そこには、中年の男がいた。5歳の子供は、中年の男になってしまった。頭脳は子供、見た目は大人。しかもその世界は、元の世界と微妙に違った。パラレルワールドというやつだ。元の世界に自分は存在していないのだから、こっちの世界か。男は、すぐに、そういう施設にいれられた。男はそこで必死に勉強した。かなり年月はかかった。元は5歳の脳なのだから。育つ内に、男の中にはひとつの感情が。それは人拐いに対する憎悪。いや、あらゆる悪に対する反感か?とにかく、もう一度あの市場に行きたいと思った。しかし、その頃には、その世界の生活になれていたので、もうこのままでいいかな、とも思っていた。だがしかし、やはり、憎悪が勝った。しかし、憎悪が勝つ頃には、もう老人になっていた。そして、烏、梟が、市場のはじまりをしらせる。そして、老人は市場へ――――――――――。











「そうか、あなたが―――――。」「そう。あの時の弟は私だよ。兄がだいたいいくつになってたかは分かってたから。人拐いを殺すチャンス与えてくれたねぇ。」「ふふ…!つか、リョーマは?」「あいつぁ…。夜市に取りのこされた。結局、買い物したの、お前だけだからな。」「そうか。あの時点で、俺の買い物は成立していたのか。」「あいつは成立してない。帰る資格はなかった。」「そっか…。」しばらく、無言。「俺いま、パラレルワールドにいるわけ?あなたといるってことはここパラレルワールドだよな?」「あぁ?うん。多分。まぁ安心しろ。また夜市にいけば、かえれる。」「金は…!?」「私が工面してやる。安心しろ。」「ふぅ。」「もうお前は一度夜市にいった。次からは、もう開催時期がわかるはずだ。」
「…。」
「烏が――――――――――梟が――――――――――……。教えてくれるはずだ。」










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