DiAяу

2014年4月24日(木)。
【"持つ"者の運命-SADME-】
教室

クラスメイツ「おい見ろよw俺の野郎またヘッドホンしたまま机に突っ伏してるぜw」

クラスメイツ「俺の奴友達誰もいないのかよwwww」

女生徒「俺君って、あんなにかっこいいのにクールを通り越して無口よね」

女生徒「何考えてるか分からないしちょっと近寄りがたいわね。顔はイケメンなのに」

俺「Zzz」シャカシャカ

美少女「(…でも私は知ってる。昨日のあれは―)」ガタ

美少女「あ、あのね俺君///」

クラスメイツ「おい、美少女さんが俺に話しかけてるぞ」ヒソヒソ


俺「…(何だこの女)」ジー

美少女「(やだ、そんな無言にされると気まずいじゃない!俺君の意地悪///)」

美少女「あ、あのね!昨日帰りに雨降ってたじゃない?」

美少女「それでね、公園で捨て猫に自分の傘をさしてあげてる男の子を見たの」

俺「…それで?」

美少女「そ、その人がね、同じ学校の制服を着てて」

俺「…」ウンザリ

美少女「もしかして、俺君?」

俺「…人違いだろ」ボソ

美少女「え?」

俺「用は済んだか?」

美少女「あ、ご、ごめんね急に!気にしないでね」テクテク

俺「…フン」

美少女「(何よもう!俺君ってあんな人だったんだ)」

美少女「(でもやっぱり昨日の人に似ているわ…)」


――――――――――――――――――――――――――――――――
昨日、公園

美少女「やだぁ、振ってきちゃった。傘もってきてないよぉ…」

美少女「こうなったら早く帰るしかないわね。近道の公園を抜けてっと」

美少女「…って、あれ!大変!子猫が捨てられている!!」

ニャーン

美少女「かわいそうに!こんな段ボールじゃ雨なんてしのげないわ!どうしよう…」

美少女「そうだわ!傘とミルクを買ってくるから、そこで待っててね!」ドタバタ

ニャーン


―数分後

美少女「コンビニが思ったより遠くて時間を食ったわ…」

美少女「でもこれでバッチリね!子猫ちゃーん!おまたs…!?」

美少女「(子猫ちゃんの前に誰かいるわ!)」

俺「おーよしよし、お前も捨てられちまったのか?」ナデナデ


美少女「(傘で顔がよく見えないわね…でも着ているのは学制服?)」

俺「寂しいか?でも俺にはお前を拾ってやる資格なんてないんだ」

俺「ぬくもりをあげられるのはそれを知っている人だけ…そうだろ?」

ニャーン

美少女「(え、やだ、なにこの暗い過去を背負ったようなイケメン声///)」


俺「そうだな、俺があげられるのはこの安っぽいビニール傘くらいなもんだ。これでいいか?」

ニャーン

俺「よし、やるよ。優しい人に拾われるんだぞ」バサッ

美少女「(やだ、こっちに来る!?)」ヒョイ

俺「」テクテク

美少女「(…行っちゃったわね)ってあれ、なんで私とっさに隠れちゃったんだろ///」

美少女「っていうか去り際にちらっと見えたあの制服…うちのだったわ」

美少女「もしかしてあの人、うちのクラスの…?」

ニャーンゴロゴロニャーン

美少女「…とりあえず拾って帰ろう」ナデナデ
――――――――――――――――――――――――――――――――


駅前

美少女「はぁ〜、結局今日はつきとめられなかったな」

美少女「でも俺君、私諦めないからね。とりあえず今日はもう帰って子猫ちゃんの世話を…」

女1「キャー!あの人、また駅前で歌ってるって!」

女2「えー!あの人って女1が前に言ってたイケメンストリートミュージシャンの事!?」

女1「そう!往年のエリック・クラプトンを思わせるギターテクと福山雅治のような艶美なフェイス&ボイスを兼ねそろえた若いミュージシャン!」

女1「どこからともなく現れて学生ということ以外は一切わからないミステリアスさもステキ…///」

女2「うっそ!私最前列でみたいわ!」

女1「はやく行きましょ!見逃しちゃうわ!」ドタドタ

美少女「うわ、凄い人だまり!駅前がやたら混んでると思ったら、みんな噂のミュージシャン目当てかしら?」

美少女「これだけ集まってるのならいずれ大物になるのかもね。ちょっと覗いてみようかしら」


群衆「キャー!!お兄さんこっち向いて!」「もう一曲!もう一曲だけ頼むよ!」「君どこの所属?ぜひうちの事務所に!」

俺「…やれやれ(俺は静かに歌いたいだけなのにな)」

ジャララン♪

俺「…すぅ、ふふふん ふふふふん♪」

美少女「!?この声!まさか!」

群衆「おぉ!なんて澄んだ声なんだ」「涙がとまんねぇよぉ!」「か、体が熱い!」プシャァァ

美少女「確かめたい…!けどこの人混みじゃ前に出れない!」


俺「ふんふんふ〜ん♪ふ〜ん」ジャラジャラジャラ

群衆「ヒュー!ブラボー!」「サインください!病気の弟のために必要なんです!」「私にもください!変わりに脱ぎたてブラジャーを受け取ってください!」

俺「・・・弟、よくなるといいな」キュッキュッ

美少女「俺君!ねぇ俺君なんでしょ!だめだわ声が届かない」

俺「じゃ、これで」ッスタ

群衆「あぁん!まって!まだブラのホックが」「契約はいい値でいいからぜひうちに!」「どこ高ですか!それだけでも教えて!」

ドタバタドタバタ

美少女「待って!顔を見せて!俺くーん!!」

美少女「行ってしまったわ…」


翌日 教室

「ミンナデー♪ウタオーオォー♪」

委員長「ちょっとストップ!」

委員長「みんなやる気あるの!?特に男子!ちっとも歌ってないじゃない!」

クラスメイツ「だりー。合唱なんてもりあがんねぇよ」

クラスメイツ「俺らのクラスだけチューチュートレインにしようぜwww」グルグル

委員長「ふざけないでよ!」

美少女「(委員長の言う通りね…しかし俺君)」

俺「zZZ」シャカシャカ

美少女「(また寝てるわ…。音楽が好きなんだかどうなんだか)」

美少女「(しかしこれはチャンスよ!俺君の歌声を聴けば昨日の件も確証が持てるわ)」


美少女「ほ、ほら俺君!俺君も一緒に歌おうよ!私俺君の歌声聞いてみたいな」ワサワサ

俺「…ッチ」スタ

美少女「(素直に立ち上がった!?こ、これでいよいよ彼の歌声が…!)」

美少女「(さぁ再開して委員長!)」

委員長「もう一度最初から行くわよ」カチャ

タララン♪タラランタンタンタン♪

美少女「みんなでー♪うたおーおぉ?!!」

美少女「(俺君がいない!あ!開け放された窓の向こうに俺君が!)」

俺「ダリー」テクテク

美少女「(まさか飛び降りたというの!?ここ三階よ!?)」


帰り道

美少女「はぁ、俺君って何者なんだろう」

美少女「普段はぼぉっとしてるか寝てるかのどちらかで怠惰なくせに」

美少女「本当はやさしくて、アーティスティックで、運動神経も抜群だなんて」

群衆「大変だ!火事だ!」「まだ誰か取り残されているらしいぞ!」

美少女「え!?わぁ家が燃えてる!!大変だわ!!」

老人「お、おたすけぇ!」ゲホゲホ

幼女「うわーん!おじいちゃーん!」

美少女「しかも2階におじいさんが取り残されてる!でもこの火の勢いじゃ消防車が来るまで持たない!」

ジャバァ!―シュッ!

群衆「おい!誰かが水をかぶって迷いもなく突っ込んでいったぞ!」「無茶はやめろ!」

美少女「まぁ!なんて勇気のある人…ってあれ?あの脱ぎ棄てられた上着、うちの制服じゃない!」

美少女「まさか…!」

俺「ウオォォォ!」

群衆「おぉ!おじいさんを抱えて戻ってきたぞ!」


幼女「おじいちゃーん!」

老人「心配掛けたな幼女よ。ありがとう若いの。あれ?もう姿が見えない!」

群衆「表彰状ものなのに、そんなもの興味ないってか」「なんてシャイなヒーローなんだ」

美少女「あぁんもう!またしても姿を見ることが出来なかったわ。…あ、あれは」

美少女「上着を忘れてるわね」ヒョイ

美少女「…」クンクン

美少女「これが俺君の匂い…ってわたしのバカバカ///」


翌日 教室

俺「…ヘックション!」

クラスメイツA「おい、俺がくしゃみしたぜ今w」ヒソヒソ

クラスメイツB「なんであいつ上着ねぇのwww」ヒソヒソ

美少女「…はい、俺君」

俺「!?」

美少女「洗っておいたわ。これ俺君の上着でしょ」

俺「…何故そう思った?」

美少女「私、見ちゃったんだ。昨日の一件」

俺「ほぅ…」


美少女「火事の中、俺君が水をかぶって老人を助けにいくところ」

美少女「その後何も言わずにその場から去って行くところまで全て」

俺「…ッフ、フハハハハ」

美少女「なに?俺君どうしたの?」

俺「美少女さんってそんなにメルヘンな女の子だったんだ。今時珍しいね。それとも狙ってるの?そういうキャラ」

美少女「な、何言って」

俺「今時いるわけないじゃんそんなヒーロー。ましてやそれが僕だなんて」

俺「そうやって気を引きたいの?やめてよね、迷惑なんだ」


美少女「でも私は確かに俺君の顔をばっちり」

俺「…よくある顔さ」スタ

美少女「あ!待ってよ俺君」

美少女「(ブラフを見破るなんて、さすがね俺君。でもあれは絶対俺君のはず)」

美少女「(そうまでして自分の善行を隠すなんて…なんて慎ましいのかしら///)」

俺「…ヘックション!」


いつか、続く








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